11月のおだいしさまのことば
一般に仏さまとは「仏さまのような人だ」とか、「仏の顔も三度まで」などと言われるように、やさしいお顔の仏像をイメージします。この場合の仏さまは慈悲、智慧、病克服などの象徴と考えていいでしょう。あるいは極楽浄土の阿弥陀さまを指す場合も多くあります。
さて、改めて本文でいう仏さまとはどのようなものでしょうか。それは、大自然に本来生きていて、全てを育み動かす尊い存在であり、真言宗の中心的な仏さま、大日如来さまを指しています。私共々、全ての生きとし生けるものは仏さまのお力を分有しており、本来、別々のものではないのです。まさに平等、無差別の関係にあると言えましょう。本文の「無二 無別 三平等」とはこのようなことと考えられるのです。
ところで、人間の目は遠くの物を見ることも、近くの物を見ることも出来ます。それと同時に「心眼で捉える」というように、具体的な物体の奥隠された抽象的な内容を捉えることも出来ます。私たちは中秋の名月を見て、尊い仏さまの存在を感じ取り、ベランダに咲いたバラの花を見て、大自然に本来生きている仏さまの力に思いを馳せることができます。輝く月やバラの花、またそれを見ている私を含めて全てを育み動かす尊い存在が確かにあ ります。そこに心の目を向けてみましょう。その時、仏さまと出会う瞬間があります。