法話板

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10月のおだいしさまのことば

「欲」とは、決して尽きることのない心の渇望を意味します。例えば現代の我々にも起こりうる過剰な物欲。目的のモノを得られないことを仏教では求不得苦(欲しいモノを得られない苦しみ)と呼び、八種の苦難の一つに数えます。

また他にも身近に起こりやすい問題として「怒り」が挙げられます。この燃え盛る炎のような衝動は、その場で収まり難く、火が燃え広がるように周囲の無関係な人々も巻き込んで、取り返しのつかない事態に発展することもあります。

これらの忌避すべき心の働きは、冷静な判断を我々から奪ってしまいます。

仏教では、これら悪因となる根源的な煩悩、それを吹き消すことを修行の根本とします。そしてお大師さまも示されているように、煩悩の克服には心の中で戒律を保ち続けることが大切です。

これは「自心の中における誓い」となるため、他人には見えにくいですが、次第に身心の両方に良い影響として表われます。つまり戒律を学び実践するということは、人格や行動を清らかなものへと導くことに繋がります。今回の「お大師さまのことば」は時を超えて伝わった、現実的な問題解決に通じる重要な教えといえましょう。