9月のおだいしさまのことば
私たちは苦しいこと、悲しいことがあるとき、人生のどん底にいる気持ちになります。弱り目に祟り目という諺があるように、辛いときに限って重ねて悪いことが起きるものです。そのような時、全てがどうでもよくなり、逃げ出したくなります。しかし、自らの心の中にある問題を正しく認識することで心を安らかに保つことが出来るのです。
冒頭のお大師さまの言葉どおり、どのような気持ちで今を過ごし、次の一歩を踏み出せるかは自分次第なのです。嫌な出来事をいつまでも考えている。その出来事は過去に起きたこと、あるいは未来に起きるかもしれないことであり、今現在の自分を苦しめているのは過去や未来のことを考えている自分自身なのです。このように書くと、未来や過去のことなんて考えずに刹那的に生きればよいのかと考える方もいるかも知れません。これはそういった意味ではありません。
嫌なことがあるとそのことばかりに心が囚われてしまい、良いことが起きていてもその方に目が向かなくなります。今という時間を大切に過ごし、過去や未来に執われすぎず、現在、この一瞬を大事に過ごすことが心に安らぎを得る方法ではないでしょうか。地獄も天国も自らの心が作り出すものなのです。