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3月のおだいしさまのことば

吐く息が白くなる時季は、しみじみと季節の移り変りを感じます。あわせて「思わず身体を丸めてしまう冬の風と、身を焦がす真夏に吹く凉しい風」を連想させる、お大師さまの言葉が脳裏をよぎります。往古の僧たちも修行の合間に季節の移ろいや、お大師さまの言葉を肌で感じていたことでしょう。

お大師さまの偉大な業績は、書物や伝記を通じて現代の我々にも伝承されており、山岳修行にも熱心に励まれていたことが知られています。今よりも過酷で危険が伴う山の中で過ごすということは、大自然の息吹を一身に受ける生死を賭した研鑽修行であったと言えます。そして深山幽谷をこよなく愛し、理解していたお大師さまだからこそ、それらの体験を思いがこもった力強い言葉として形にできたのでしょう。

『お大師さまのことば』を口にして、目を閉じてみてください。お大師さまの頬を撫でた風、それが吹いたのは、いつ、どこであったのか。それを考えるだけでも言葉の意味を一層深く味わえることでしょう。時には、お大師さまの著された言葉に触れて、その背景や気持ちに思いを馳せてはいかがでしょうか。