11月のおだいしさまのことば
真言宗の寺院を参拝した際に、幾何学的に配置された様々な仏さまが描かれている絵をご覧になったことがあると思います。それは「曼荼羅(まんだら)」といって仏さまの世界を表した絵です。ほとんどの場合、左右に対で掛けられており、通称を「胎蔵(たいぞう)曼荼羅」「金剛界(こんごうかい)曼荼羅」といいます。
それぞれの曼荼羅は、真言宗の最も大切にしている経典『大日経(だいにちきょう)』と『金剛頂経(こんごうちょうぎょう)』の教えに基づいて描かれています。
さて、メモ書きの伝言の場合、伝える側の意図とは異なる意味合いで伝わってしまうことが時々あります。仏教の教えを伝える場合でも同じことが言えると思います。目標である仏になるために、お経の理解を進めますが、その神髄を言葉だけで理解するのは限界があります。そこで、真言密教では曼荼羅を用いて仏さまの世界を視覚的・感覚的に示すことによって、仏との一体感を身をもって捉えられるようにしています。
川崎大師の大本堂にも御本尊の両脇に曼荼羅が掛けられています。曼荼羅が掛けられる寺院を参拝される際には、是非一度じっくりご覧いただき、仏さまの世界を感じて頂ければと思います。