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11月のおだいしさまのことば

これはお大師さまが弟子たちに向けて仏道を歩むうえで守るべきことを記された文章の一節で、密教の瞑想修行を大変重んじられたことがわかります。実際にお大師さまも真言宗の布教、高野山開創の準備など、お忙しい立場にありながら瞑想修行を怠ることはありませんでした。

ある時、書家としても有名なお大師さまに嵯峨天皇から屛風への揮毫(きごう)依頼がありました。しかし、その屛風が献上されたのは依頼があってから約二カ月後のことでした。献上が遅れた理由として屛風に添えられた文面には「朝から晩まで瞑想修行に傾倒しており、筆を手にすることができません・・・私は瞑想修行に専念する者であって、すっかり筆はおろそかにしています」とあります。天皇からの依頼を先延ばしにしてまで瞑想修行に没頭された様子が窺えます。

さて、密教の瞑想修行は、修行者自身の中に本来そなわる仏の心をみつめ、仏と修行者の一体を観じていく、そして一体(仏)となる、そのような境地に至るものです。

川崎大師では年間を通して毎日欠かすことなく護摩祈祷が行われています。護摩祈祷も密教の儀式であり、その儀式の中で導師は密教の瞑想を実践しているのです。