2月のおだいしさまのことば

解説
「水」は生命(いのち)にとって欠かせないものであり、同時に汚れ等を消し去る神秘的な側面、力を備えています。そのため「水」は真言宗でも重要視され、洒水加持(しゃすいかじ)をはじめ、様々な作法に用いられています。
お大師様は天皇の命により神泉苑にて雨乞いの修法を行いました。この時、西寺の僧、守敏(しゅびん)の妨害を受けながらも、これを退けて無事に雨を降らせることができました。そして、この雨は三日間降り続き、旱魃(かんばつ)に苦しんでいた人々を救ったと伝わっています。
またこの他にも、お大師様は満濃池の修復、錫杖(しゃくじょう)や独鈷(とっこ)で湧出した「弘法清水」や温泉など、「水」と深い縁があることで知られています。
木々が生い茂る山々に分け入って修行に励み、滾々(こんこん)と流れる水で喉を潤して、幻想的な霞を身体に取り込み、生命力に満ち溢れた大自然を眺める。このような環境を、お大師様は一人の修行僧として求めたのです。